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ガネーシャの誕生

ゾウの神様ガネーシャ伝説

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インドでもっとも人気のある神様ガネーシャ。その強烈なキャラクターは数ある神々のなかでも異彩を放っており、一度見た人は決して忘れることは出来ないだろう。

ガネーシャの特徴はその顔にある。写真を見ていただけば分かるように、見事なゾウ顔なのだ。ユーモラスな顔という人もあるが、目付きは結構怪しい。

それは例えるなら、マリファナのやりすぎみたいな恍惚の表情のようでもあるし、またじっさいのゾウにも似ていなくもない。見れば見るほど不思議な気分になる神様でもある。

ところで、ガネーシャの足元にはいつもネズミの姿がある。じつはこのネズミ、ガネーシャの乗り物である。じっさいに乗っている絵はまだ見たことがない。

また、ガネーシャの牙の片方は必ず折れていなければならない。伝説によると。…とある月夜の晩にふらふらとガネーシャが出歩いているとき、目の前を横切った蛇にネズミが驚き、主人のガネーシャを振り落としてしまった。牙はその衝撃でポキリと折れてしまった。ガネーシャは怒って、蛇を捕まえ、腰に巻きつけてしまったのだとか…。また、その場面を見ていた月が大笑いしたため、ガネーシャはまたもや癇癪をおこして折れた牙を投げつけてしまった。それで結局、折れた牙は今も行方不明のままだ。まったく神様らしくない話だが、ガネーシャ誕生譚はさらに奇想天外なものだ。


元祖ガネーシャ?

ことの始まりはシヴァ神(破壊の神)の妻パールヴァティーが自分の垢で人形を作ったことにあった。多分、これも気まぐれに違いないが、すっかり気に入った彼女はその人形に魂を吹き込み息子にしてしまった。そしてまず、この息子に自分が入浴中の門番の役割をいいつけた。

そんなこととは知らずにこの家に戻ってきたのが夫のシヴァだった。でも、シヴァとこの息子は初対面、お互い「入れろ入れない」の押し問答になってしまった。すっかり激昂したシヴァはこの息子を殺そうとしたがなかなか歯が立たない(史上最強の神様のはずなのに…?)。そこでビシュヌの助けも借り、ようやくこの息子の首を切り落とすことに成功した。

しかし、問題はパールヴァティーである。まさか自分の夫が息子を殺してしまうなどと想像もしていなかったから、この事態に激しく動揺し、嘆き悲しんだ。シヴァはもともと同情心の強い神様だから何とかしなければ、という訳で、とにかく家来の悪鬼たちに「すぐに何でもいいから首を用意してこい」と命令した。そこで悪鬼たちが慌てて出発し、ようやく見つけたのがゾウだった。ゾウは哀れにも首を切り落とされ、その首を死んだ息子の胴体につけて生き返らせた。こうして生まれたのがガネーシャである。

ガネーシャの一般的な説明を読むと、「富をもたらす現世利益のおだやかな神様」といった説明がよくあるが、そんなつまらない神様はインドには存在しない(存在できない)。ガネーシャもまた、かなり癖のある神様である。ずるがしこいし癇癪持ちだし何より嫉妬深い。信者たちは、その嫉妬を恐れて、寺院に行くとまずガネーシャの祠へ行ってお祈りをする。まあ、かなり我がままな神様だと思って間違いない。

ところで、毎年夏、8月から9月の10日間、ガネーシャの誕生を祝う祭りが西インドを中心に行われる。粘土で作られたガネーシャの巨大な像が街を練り歩き、最後は川や海に流される。とくに有名なのはムンバイとプネ、いつかは行きたい祭りの一つだ。

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ガネーシャは日本にもやってきている。おそらく平安時代、空海あたりによって連れてこられ、長いあいだ門外不出であったのが、中世あたりに一般に出回った。いわゆる「聖天さん」がそうだ。正式名称は「大聖歓喜天」である。ゾウ頭の男女が抱き合うような怪しい格好をとる姿で知られている。あまりに怪しかったためか、お稲荷さんや弁天さんのようにはメジャーにはならなかったが、その分、謎めいている。

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