10世紀、南インドのブラフマー(ニューデリーの国立博物館)
ヒンドゥー教における三大神(トリムリティー)の一角を担う神様ブラフマー。古くは宇宙の真理を具現化した神様として特別扱いされたが、その後人気は急降下。最終的には新興勢力であるシヴァに首を切られてその威信も地に堕ちてしまった。ブラフマーをまつる寺もほとんど存在せず、有名どころでは秋の家畜祭りで有名なプシュカルぐらいだ。
ブラフマーはインテリの神様だが、それを鼻にかける嫌味な性格が人気凋落の原因になったらしい。また、その神妃はサラスヴァティー(弁財天)だが、じつはサラスヴァティーはブラフマーの娘、その娘にストーカーとなって付きまとい、強引に妻にしたと伝えられている。
10世紀作の彫像は、いかにもブラフマーらしい、つまり、どうでもよさそうな雰囲気をよく伝えている。三大神だからとりあえず巨大に作られたが、存在自体が凡庸なので、どこか間延びした感じが否めない。