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リシケシ RISHIKESH(標高340メートル)

ラクシュマンジュラの風景
夕暮れの散歩道

ヨーガのふるさととして知られるリシケシ。ヒッピームーブメントがおこった60年代には数多くの旅行者がこの地を訪れた。1968年にはビートルズ一行がリシケシに滞在し、ヨーガを学んだ。その時の師がマハリシ・マヘーシ・ヨーギという有名な聖者であったが、結局喧嘩別れに終わったようだ(マハリシが死んだと先日ニュースで聞いた)。1968年といえば僕が生まれた年でもある。ヨーガを学ぶためにこの地を訪れる旅行者はその後も絶えることがない。

夕暮れ時の河原には、ヨーガを学ぶ外国人や隠遁者たちが静かに瞑想する姿が多く見られる。山々の緑とガンジスの流れに包まれたリシケシはまさしく仙境である。そこに身をおけば、シャンティー(寂静、平和)という時間をゆっくりと感じることができるだろう。

ヨーガを学ぶ多くの人々に愛されるリシケシだが、とはいえ、相性がそれほど良くないと感じる人もなかにはいる。じつは僕もその一人である。さまざまな理由があるが、それはあまり書かないほうがいいかもしれない…。

知り合いのサドゥからこんな話を聞いた。彼はかつて、リシケシの森に庵を持っていたという。他にも同様のサドゥが多数いて、日々、自然に囲まれてのんびりと暮らしていたが、ある日、お役人が来て、サドゥの庵を取り壊すように命じたという。

本来リシケシは聖地というよりサドゥたちの自由気ままな遊び場であったと僕は想像している。彼らはお気に入りの場所に庵が結び、豊かな自然と思う存分戯れ、その中で自然と自分を一体化させていった。それが古きよきリシケシの姿だったと想像しているのだが、近年、そうしたリシケシの美しさが急速に失われようとしている。

サドゥが庵を結べなくなればサドゥ文化は死に絶えるだろう。庵がなくなれば瑞々しいヨーガの伝統も失われてしまう。真のヨーガはアシュラム(ヨーガ道場)から生まれるわけではない。にもかかわらずアシュラムばかりが肥大化し、一方でサドゥたちの庵は消え去ろうとしている。 リシケシに限ったことではないのかもしれないが、ここではとくにそれを強く感じてしまい、写真を撮ろうとする意欲があまり湧かなかった。

とはいえヒマラヤ巡礼の途中に何度かリシケシを訪れた。リシケシはヒマラヤ巡礼ルートの要衝でもあり、また、じつはのんびり休んで本格的なパスタを食べるためだった…。

(注) ヒマラヤ巡礼についておよびチャールダーム近郊の簡単地図もあわせてご覧ください。

 
 
夕暮れの河原
夕暮れの河原で瞑想をする集団
 

リシケシは外国人旅行者にはお馴染みの街であり、ガイドブックにも紹介されている。パスタばかり食べていた人間には街の紹介をする資格はないだろう。とくにヨーガアシュラムについての知識はまったくない。アシュラム自体は非常に多く、外国人も多いから彼らの話を聞いてからアシュラムを決めればよいと思う。

リシケシの簡単な概要だけ書いておきたい。

街の中心はガンジス川の西側にあるが、外国人の多くは対岸のラムジュラか、同じく対岸をさらに川上側に入ったラクシュマンジュラと呼ばれる地区に宿泊する。

ラムジュラは数多くのアシュラムが立ち並ぶ地区で、聖地リシケシの中心地である。ラムジュラの奥のほうにグリーンゲストハウスという比較的居心地のよい宿があり、その周囲に安宿が多い。聖地に興味があるか、あるいはヨーガをするならこの地が最適だろうか。ハリドワールとはその規模は比べるべくもないが、夕方にはガート(沐浴場)で雰囲気のいいアラティー(礼拝)が行われる(下の写真は違います)。

奥のラクシュマンジュラはもっと静かな環境である。 ゲストハウスが点在し、西洋人の姿が多い。色鮮やかな寺もあり、風光明媚な雰囲気である。ラクシュマンジュラからラムジュラまでは約2キロ、川に沿って静かな遊歩道がある。夕暮れ時の散歩にちょうどよい。

またラクシュマンジュラから約12キロの地点の山中にニルカンタ寺院がある。僕は行っていないがいいところらしい。バスも出ているが、歩きでも可能だ。行きは登りだから帰りに歩くほうがいいかもしれないが、行くなら現地で情報収集を。

街の中心部からラムジュラ、あるいはラクシュマンジュラに行くには乗り合いオートリクシャーが便利。残念ながら料金は忘れたが、乗り合いなので高くない。

ラムジュラの場合は、リクシャーを降りてから結構歩く。ゲストハウスのある地域に行くには、長いつり橋を渡って、さらにアシュラムが立ち並ぶ賑やかな通りを川下に向かってしばらく歩く。グリーンゲストハウスの看板が見えたらせまい路地を左手に折れて突き当たり。オートリクシャー乗り場から計20分の道のりだ。荷物が重いと、とくに夏は結構きつい。

(アクセス)

デリーからバスで約8時間。早朝の急行列車(シャタブディーエキスプレス)に乗ってハリドワールまで行き、ローカルバスで約1時間走るのがもっとも速い。約6時間。

ヒマラヤ各地の聖地へは、町の中心部から少し外れたヤットラバススタンドからバスが出発する。最盛期は非常に混みあい、チケットを取るのも難しい。手数料は取られるが、旅行会社に代行してもらうと楽である。

バスの移動時間は、ヤムノートリーまで約10時間、ガンゴートリーへの中継地点であるウッタルカーシーまで約8時間、ケダルナートへの登山口であるゴーリクンドまで約10時間、バドリナートまで約11時間となる。いずれも早朝6時から8時ぐらいのあいだに出発。

聖地旅行の詳細は各聖地のページおよびヒマラヤ巡礼についてを参考。

 
 
巡礼たちによるプジャ(お祈り)
沐浴場のゲートの飾り
 



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