ヤムノートリー
ヤムナー川源流への道

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ヤムノートリー YAMUNOTRI (標高3185メートル)
登山口あたりから見た山々
道中の寺と緑の山
巡礼たち

女神ヤムナーをまつるヒマラヤの聖地ヤムノートリー。ガンジス川と並び称される聖なるヤムナー川の源流近くにひっそりと鎮座しており、チャールダームヤットラ(ヒマラヤにおける四ヶ所巡礼)における聖地の一つとしてインド中の尊崇を受ける。場所はガンジス川源流の聖地として知られるガンゴートリーより、さらに西側の山の中である。

ヤムナーはインドにとって非常に重要な川である。支流の水を集めてやがて大河となったヤムナーは、その畔に数多くの伝説や歴史的ドラマを産んだ。その舞台は今も聖地や観光地として人気がある。

ヒンドゥー系ではマトゥラーとブリダーヴァン。ともにクリシュナ神の聖地として有名な街だ。イスラム系としてはなんといっても首都デリーと、タージマハールで有名なアーグラがある。ヤムナー川の果たしてきた役割はときにガンジス川を越えるものがある。

ヤムナー川はさらに下ってアラハバードのサンガムでガンジス川と合流する。その名前はここで消滅するが、水はガンジスにまじりあいながらさらにベンガル湾と目指すことになる。

現在のヤムノートリーは残念ながらあまり魅力のある場所ではない。登山口までの途中の風景はとても魅力的なのだが、バスの終点に入ったところから雰囲気がおかしくなる。谷自体に風情がないわけではないが、なにしろ訪れる人が多すぎる。道中もひどいが、ヤムノートリーに入るとさらに息が詰まる。

ヤムノートリー自体は寺にいたる一本の細い道とせまい河原があるだけの非常に小さな場所である。そこに膨大な数の巡礼が詰め掛けるから、あらゆる場所で混雑する。しかも、これほどまでして訪れたヤムノートリー寺院は驚くほど小さい。あまりに小さいので、すぐにお参りができるほどだ。

ヤムノートリーはやや退屈な場所だったが、いいこともあった。ヤムナー川の源流はヤムノートリーのさらに上、標高で言えば1000メートル程度登った場所から流れ出ている。時間や季節の都合で源流までは行けなかったが、その途中まで遊びに行った。

まだ真っ暗な時間から森を歩き、雪渓状態の川を何度か歩くうちに草原に出た。さらに登って上を見上げると、雪をかぶったヒマラヤの山々と真っ青な空。素晴らしい場所だが、他に人はいない。すべての巡礼者はヤムノートリーで満足して引き返すのだ。

(注) ヒマラヤ巡礼についておよびチャールダーム近郊の簡単地図もあわせてご覧ください。

 
 
ヤムナー女神をまつる寺
ヤムノートリーのバザール
 

ヤムノートリーへはリシケシかデラドゥンからバスが出ている。シーズン中は混雑しているので、前日までには旅行会社で予約したほうがいい。リシケシから旧急登山口のハヌマーンチャティーまでは約12時間。夕方に到着するのが一般的。粗末な宿が数軒ある。

昔はハヌマーンチャティから六時間のトレッキングだったが現在は中間地点のジャンキーチャティーまでジープが往復している。所要30分ぐらい。ジャンキーチャティーからヤムノートリーまでは歩いて約3時間。ポニーや籠もある。

宿はそれぞれの場所にあるが、いずれも粗末だ。とくにヤムノートリーは注意が必要。ヤムノートリーで宿泊するなら午前中に到着したほうがいいが、そうなると、ヤムノートリーで時間を持て余すことになり、結局、下山して、ジャンキーチャティーやハヌマーンチャティーに宿泊したほうがいいかもしれない。微妙な時間帯ならまず宿を探し、気に入らなければ下山するといった方法もある。下りは2時間ほどの道のりだ。

すでに書いたとおり、ヤムノートリーは非常に混雑する。最盛期の5月6月は避けたほうがいいだろう。さらに雨季7月8月もたぶん魅力がない。静けさを味わいたいなら(味わえるかどうかは分からないが)、秋の終わりがいいだろう。

ヤムノートリーからさらに源流まで歩くなら雨季以降に限られる。宿などはいっさいないので、テントや食料が必要となる。もちろんガイドも不可欠なので、リシケシあたりですべて調達するほうがいいだろう。あまり一般的なコースではないが、源流という響きもいいし風景も美しい。

 
 
ヤムナー源流への道
ヤムナー源流周辺の山々
ヤムノートリーの夕暮れ
 



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