ウッタルカーシーから約50キロガンジス川をさかのぼると、温泉の村ガンガナーニがある。「ガンガーのお母さん」という意味を持つ小さな村だが、現在は多くの巡礼が立ち寄る人気の温泉地となっている。源流からの帰り道に立ち寄り、のんびりできる。
温泉は自動車道から数分登った場所にある。宿もその周囲にある。訪れる人は多いが宿泊する人はあまりいない。昼間は賑やかだが、朝や夕方はとても静かだ。温泉は開放された男性用と目隠しがされた女性用に分かれている。男性用の大きな浴槽から少し登るとヒンドゥー寺院がある。さらに三十分ほど登ると村があるから、時間があるなら散歩するのもおもしろい。
このあたりからガンゴートリーにかけては深い峡谷がずっと続く。途中、歩いて旅するサドゥの姿を何度も目にすることだろう。なかには、すべて歩きでチャールダームヤットラ(四ヶ所巡礼)を行う人もいる。二ヶ月から三ヶ月の道のりだという。
すべてを歩くわけにはいかないが、もし元気があるなら、たとえばガンゴートリーからガンガナーニぐらいを歩くのもおもしろそうだ。ゆっくり歩いて三日ぐらいで可能である。途中いくつか宿がある。ガンゴートリーでガイド(兼ポーター)を雇うと安心だし、地元民に聞きながらショートカットコースを歩くことも可能である。僕もそうする予定だったが、すでに時間がなく、前回は断念した。
ふたたびウッタルカーシーの話に戻る。
もし、ガンゴートリーとヤムノートリーを同時に訪れるなら、ウッタルカーシーでの乗換えが便利だ。ただし、ウッタルカーシーとヤムノートリーを結ぶ直通バスは、とくにシーズン中は座席がとりにくい。その場合は、ヤムナー川沿いの比較的大きな街であるバルコットで乗り換える。ヤムノートリーへの登山基地であるハヌマーンチャティへ乗り換え時間もあわせて約5〜6時間だ。
反対にケダルナートやバドリナート方面に行く場合はいったんリシケシに戻ったほうがよいだろう。地元民に相談するとショートカットルートを教えてくれるが、座席が確保出来ない可能性がある。距離的にもそれほど短縮されるわけではない。ただし、旅の風情を味わうなら、さまざまな場所で途中下車しながら、のんびりと山地を旅するのも悪くない。ウッタルカーシーの魅力も、そんな何気ない旅の風情にある。
ウッタルカーシーを拠点としたトレッキングルートがいくつかある。ドディタールが有名だが、ガイドが必要だ。ウッタルカーシーでもガイドは見つかるが、大きな街なので信用出来るガイドを見つけるのは大変だろう。ほとんどの情報はリシケシで得ることが出来る。
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