ウッタルカーシー
巡礼たちが交差する街

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ウッタルカーシー UTTARKASHI(標高1158メートル)
ビシュヌワート寺院
バススタンド付近
巡礼を乗せたタクシーが上流へ向かう

ガンジス川をさかのぼる途中にある街ウッタルカーシー。巡礼たちを乗せたバスやジープが夕暮れの中を通り過ぎていく。北のカーシー(ヴァラナシ)、という意味を持つこの街には、途中駅が醸し出す、独特の風情がある。 周囲の山々と滔々(とうとう)と流れるガンジス川を眺めながら、源流への思いを馳せる街でもある。

リシケシからガンジス川上流の聖地ガンゴートリーはバスで十時間を越える道のりである。その為、源流を目指す巡礼たちの多くはウッタルカーシーで一夜を明かす。バスを乗り換え、すぐにガンゴートリーを目指すこともできるかもしれないが、その場合は到着が夜になる。出来ればここで一泊し、ガンジス川巡礼の風情をじっくりと味わうのがいいだろう。

アクセスは、リシケシのヤットらバススタンドからウッタルカーシーへは約8時間、ウッタルカーシーからガンゴートリーへは約6時間となる。

聖地ウッタルカーシーにおける中心はシヴァ神をまつるビシュヌワート寺院。ヴァラナシにも同じ名前の寺があるが外国人は参拝できない。ウッタルカーシーのビシュヌワート寺院はのんびりした雰囲気で、外国人の参拝も許される。木々に覆われた境内は落ち着きがあり、好感が持てる。付近は静かな寺町の風情を伝えている。

ビシュヌワート寺院は、巡礼たちで賑わうバザールから少し離れた場所にあり、散歩にも最適だ。バザールからはバススタンドを超えて古い通りを抜ければ、約10分で到着する。

時間があれば、バザールから反対側、大きなつり橋を越えて対岸に散歩してもよい。特別何もないが、小さな商店街があり、ガンジス川沿いに少し下ると自動車用の橋があるから、これを渡って一周するのもおもしろい。

ホテルはバススタンド周辺とそこから川へ向かう旧市街にいくつもある。裏寂れて、小さなゴキブリがうろうろする宿も多いから、気になるなら少し奮発して、中級ホテルに泊まったほうがよいかもしれない。といっても500ルピー(約1500円)から1000ルピー(約3000円)程度。

(注) ヒマラヤ巡礼についておよびチャールダーム近郊の簡単地図もあわせてご覧ください。

 
 
ガンジス川に架かるつり橋
夕暮れのウッタルカーシー
 

ウッタルカーシーから約50キロガンジス川をさかのぼると、温泉の村ガンガナーニがある。「ガンガーのお母さん」という意味を持つ小さな村だが、現在は多くの巡礼が立ち寄る人気の温泉地となっている。源流からの帰り道に立ち寄り、のんびりできる。

温泉は自動車道から数分登った場所にある。宿もその周囲にある。訪れる人は多いが宿泊する人はあまりいない。昼間は賑やかだが、朝や夕方はとても静かだ。温泉は開放された男性用と目隠しがされた女性用に分かれている。男性用の大きな浴槽から少し登るとヒンドゥー寺院がある。さらに三十分ほど登ると村があるから、時間があるなら散歩するのもおもしろい。

このあたりからガンゴートリーにかけては深い峡谷がずっと続く。途中、歩いて旅するサドゥの姿を何度も目にすることだろう。なかには、すべて歩きでチャールダームヤットラ(四ヶ所巡礼)を行う人もいる。二ヶ月から三ヶ月の道のりだという。 すべてを歩くわけにはいかないが、もし元気があるなら、たとえばガンゴートリーからガンガナーニぐらいを歩くのもおもしろそうだ。ゆっくり歩いて三日ぐらいで可能である。途中いくつか宿がある。ガンゴートリーでガイド(兼ポーター)を雇うと安心だし、地元民に聞きながらショートカットコースを歩くことも可能である。僕もそうする予定だったが、すでに時間がなく、前回は断念した。

ふたたびウッタルカーシーの話に戻る。

もし、ガンゴートリーとヤムノートリーを同時に訪れるなら、ウッタルカーシーでの乗換えが便利だ。ただし、ウッタルカーシーとヤムノートリーを結ぶ直通バスは、とくにシーズン中は座席がとりにくい。その場合は、ヤムナー川沿いの比較的大きな街であるバルコットで乗り換える。ヤムノートリーへの登山基地であるハヌマーンチャティへ乗り換え時間もあわせて約5〜6時間だ。

反対にケダルナートバドリナート方面に行く場合はいったんリシケシに戻ったほうがよいだろう。地元民に相談するとショートカットルートを教えてくれるが、座席が確保出来ない可能性がある。距離的にもそれほど短縮されるわけではない。ただし、旅の風情を味わうなら、さまざまな場所で途中下車しながら、のんびりと山地を旅するのも悪くない。ウッタルカーシーの魅力も、そんな何気ない旅の風情にある。

ウッタルカーシーを拠点としたトレッキングルートがいくつかある。ドディタールが有名だが、ガイドが必要だ。ウッタルカーシーでもガイドは見つかるが、大きな街なので信用出来るガイドを見つけるのは大変だろう。ほとんどの情報はリシケシで得ることが出来る。

 
 
温泉の村ガンガナーニ付近
黄昏ていくウッタルカーシーの町
ウッタルカーシーから見た山々
 



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