僕は都合8回ヴァラナシを訪れたが、期間的にはそれほど長くない。全部で二ヶ月程度だろうか。最近も一度訪れたが、主要な被写体であるサドゥがなぜか少なかったので長居しなかった。サドゥにとって、ヴァラナシは重要な聖地のはずだが、先にも書いたようにヴァラナシ自体の観光地化が激しく、喧騒を嫌って離れていくサドゥも多いと聞いた。
(街案内)
街案内は最小限にとどめたい。ヴァラナシをよく知る人はいくらでもいるし、ガイドブックでもネットでも多くの情報が手に入る。
街の中心はダサシュワメードロード。ゴドーリアの交差点からまっすぐこの通りを歩くとヴァラナシ最大のガート(沐浴場)である、ダサシュワメードガートに出る。旅行者のほとんどはこの通りを中心に動き回る。
ダサシュワメードロードの左右の古い市街に安宿が点在する。
川に向かって左手が、黄金寺院として知られるビシュワナート寺院を中心とする旧市街だ。ビシュワナート寺院はヴァラナシでもっとも格式ある寺院であり、巡礼の中心地である。ただし外国人は入れない。また、この一帯はイスラム勢力との確執が激しく、警備も厳重である。さらに寺院から裏手の道を辿って火葬場であるマニカルニカーガートへ向かう辺りも少し治安に問題がある。そんな事情もあり、安宿街としては完全に下火である。散歩に関しては昼間なら、寺院周辺を歩くかぎりはとくに問題はない。しかし、奥まった路地を歩く場合は注意が必要。
一方、川に向かって右手の一帯は、旅行者街としてますますにぎわいを見せている。その中心となるのがベンガリートラという路地。昔は非常に暗い通りだったが、今は激変した。安宿もレストランも充実している。泊まるならこの辺が無難だろう。
少し南に離れたアッシーガート周辺にも外国人用の安宿が増えつつある。ヴァラナシ特有の臭みが薄れるだけで、個人的にはさして魅力は感じないが…。
ヴァラナシは治安の悪い街として有名である。しかし、常識的な行動をとるかぎりはそれほど問題ではない。当たり前だが、アホな連中とは付き合わないほうがよい。また、旧市街一帯に広がる迷路のような路地を探検しようなどとはあまり考えないほうがいいかもしれない。旅行者がいる場所にとどめておくのが無難だ。
|