六年に一度のクンブメーラは終わったばかりであり、次回は2013年にやってくる。クンブメーラのクンブとは水がめの意味であり、メーラは祭りである。聖なる川の水を汲むことに由来している。クンブメーラのメインイベントはハリドワールの項でも書いたとおり、裸のサドゥたちによる大行進である。それについては「サドゥ 小さなシヴァたち」に書いた。
今後4年間(2008年時点)は通常の祭りであるマグメーラの開催のみとなるが、それだけでも、十分過ぎるぐらいにおもしろい。期間は年によって違うが、1月半ばから2月半ばの約一ヶ月間である。この期間、サンガムの河原には無数のテントからなる巨大都市が現れる。テントに泊まることもできると思うが、よく分からない。
外国人が訪れる場合はアラハバード市内に部屋をとるのが一般的だ。一番よい場所はバススタンドや鉄道駅の近くである。先にクンブメーラの時に泊まっていたのはバススタンド横のツーリストバンガローだった。部屋によっては夜中うるさいが、僕には最高の場所であった。というのは、そこなら24時間いつでもサイクルリクシャーが捕まえられるのである。まだ真っ暗な時間に宿を出て、サンガムで朝日を眺めるには、とても便利な場所である。
サンガムに限らないが、巡礼の中心は早朝である。朝霧のうっすらとかかる川の対岸から真っ赤な太陽がのぼってくる。その様子は何度見ても飽きることがない。それに朝の冷気が本当にすがすがしく、言い知れぬ幸せを感じる。またあるときは数メートル先も見えないほどの霧に立ち込められ、手探りで川を目指し、ときにはボートに乗る。霧の向こうから帰ってくるボートが静かに現れ、音もなくまた霧の中に消えていく様子はまるで三途の川である。
早起きしなければ三文どころの損失ではすまないだろう(昔の三文は大金…)。昼間の間の抜けたサンガムとは比べようがない。
朝に次いで美しいのが夕方。塵がまじった空気感に哀愁がただよう。川岸ならどこで夕暮れを過ごしてもいいが、もし時間があるなら、ガンジス川にかかる自動車用の橋の上(ヴァラナシにいたる国道上の橋)から川に沈む夕日を眺めてみよう(一番下に写真あり)。切なく美しい光景に胸を打たれる。
橋の両側に歩道があるから歩くのは問題がない。ただし撮影は原則禁止であるから目立つことはしないほうがよい。橋の上に行くのは少々やっかいだが、街から見て、ガンジス川の対岸側から歩いていくと分かりやすい。ただし、サンガム中心部から三十分近く歩く必要がある。面倒なら街からオートリクシャーで直接行くことも出来る。
また、ヴァラナシからバスで来る場合はこの橋を渡るので、左側、窓側の座席を確保しよう。約三時間の道のりだが、ちょうど夕暮れにあわせてバスを選んでもよい。橋から見下ろすサンガムの光景が忘れられないものになるだろう。
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