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オルチャ(1)宮殿廃墟
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インドでもっとも美しい場所のひとつにオルチャがある。デカン高原の北端、ガンジス川の支流ベトワ川の近くに、廃墟と化した古びた建築がいくつも並んでいる。
オルチャを訪れたのは雨季のはじめ、雨に濡れ、鮮やかに生き返った緑の絨毯がデカン高原の大地をおおっていた。雨季の季節にインドの平野部を旅するのはこれが初めてだったから、まずその風景が新鮮だった。さらに上空には不吉な予感を感じさせる黒い雨雲。オルチャの遺跡はその下にあった。
オルチャの歴史は16世紀にさかのぼる。支配者はヒンドゥー教徒のブンデラ(ラジプート)族であったが、すぐ北を支配する巨大なムガル帝国(イスラム教徒)と友好的な関係を結びつつ、18世紀にいたるまで繁栄した。しかし、王国はその後没落し、優雅だった建築物は雨ざらしの廃墟と化し、今にいたる。
長く忘れ去られていたオルチャだったが、最近、長期外国人旅行者に注目されたのをきっかけにして、再び脚光を浴びるようになった。遺跡も魅力的だったが、何よりその緑あふれる風景との調和が旅行者の好みに合致した。とはいえ、それは限定的なものであり、遺跡としては、いまだマイナーな存在である。専門的なことは分からないが、建築的な価値としても、とりたてて突出しているわけではないようだ。巨大なインドにあってはそれも仕方ない。でも一ついえることがある。
虚心に見た場合、それがたとえ廃墟であったとしても、オルチャは非常に美しい。雨季という季節がよかったのもあるが、オルチャは悲しいまでに儚く、幻想的だった。
というわけで、オルチャに関しては、計6ページにわたって紹介していきたい。
まず最初は宮殿。二つの部分に分かれている。一つは王国初期に建造されたラジマハル、そしてもう一つはあとになって建造されたジャハンギールマハル。ムガル帝国第三代皇帝ジャハンギールのオルチャ訪問を記念して作られた。
下の写真四点はラジマハル。外観は壮大だが、内部は廃墟と化しているが、まるで迷宮にさまよいこんだような複雑な構成となっている。中世ヒンドゥー建築の典型的なデザインを踏襲している。窓が大きく、あらゆる場所から外の風景が楽しめる。昔は大変優雅だったと想像されるが、今は巨大なお化け屋敷といったところ。ところどころ床などが崩壊している。また、お化けではなく、たまに痴漢が登場するとの情報あり。女性旅行者の場合は複数で行動したほうが無難だろう。 |
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下はジャハンギールマハル。上のラジマハルとは違ってどこかイスラム調である。ムガル帝国の影響だろうか。重厚だが、少し重々しい印象がある。 |
再びラジマハルに戻って、そこからジャハンギールマハルを見る。雨雲の隙間から時折太陽が顔を見せ、遺跡を照らし出す。 |
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