上の写真が最初に撮ったものである。何が悪いのか分からない。ただし、分からないながらも本尊の持つオーラは感じられる。先住民風の男はさかんに「こんなふうに撮れ!」とポーズをとる。上から撮れという意味らしい。真似をして上から撮る。それが下の写真。
よく見ると、本来リンガがあるべき場所に石が見える。これが重要なのだと先住民風の男が繰り返す。伝説などを訊ねたが、よく分からんと答えるだけだ。周囲の人に聞いても同じである。そんなことはどうでもいいらしい。それよりも、この石が重要で、それが分かれば十分だと、先住民風の男は繰り返す。そして、デジカメの液晶をのぞいて、満足そうにうなずき、さっさと本堂を立ち去っていった。
あっけないようだが、これで終わりである。ただし、この結果には僕もある程度は満足していた。つまり、アスカのルーツはこの目で見た、という確信を覚えていた。どうやら僕の頭のなかは先住民風の男と同じ質(たち)のものらしい。