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テントの広さは約二畳。二人寝ればいっぱいのスペースだが、ときには知り合いのサドゥが泊まることもあるという。 「日本人のサドゥを泊めたこともある。もう昔の話だが…」 「どんなサドゥだったの?」と訊くと、「お前アゴーリーを知ってるか?」と逆に質問してきた。 「もちろん。人食いサドゥだね」 「そうだ。日本人サドゥはそのアゴーリーだったんだよ」 驚きである。火葬場などに住んでその残り肉を食すという変人サドゥ集団である。ベンガル地方がその本拠地であると聞いたことがある。その日本人サドゥはその後帰国したらしいとの噂だが本当のことはよく分からないらしい。 サントスナートババは「ホテルを引き払ってここに泊まれよ」と迫ってきたが、いくらなんでもそれは時期尚早というものである。僕は彼のことをまだ何も知らない。それに昨日のアマルナートババだってここの住人である。二人に身ぐるみはがされる可能性もなくはないし、第一こんなせまい場所で寝なければいけないほど金に困っているわけではない。だから断ったが、僕からもある提案をした。 「もし可能ならゴームクまで一緒に行かないか?」 「じゃあそうしよう」 あっという間に話は決まった。 「明日からでも大丈夫」とサントスナートババは即座に答えた。 「アマルナートババは?」 「彼も行くよ」 「でも彼に聞かないと」 「大丈夫だよ。いつでも行ける。今年はまだゴームクまで行ってないし、そろそろ行こうかと話していたところだ」 万事がそんな調子だったが、すでに約束してしまった。出発は明後日とした。
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