ホーム

フォトギャラリー

写真で見るインド

インド旅の雑学

フォトエッセイ

ブログ

プロフィール

 
 chaichaiホームデカン高原古代の森パチマリ>第六章 ジシヴァの洞窟へ
 

 第五章に戻る 第七章に進む

 

第六章 シヴァの洞窟へ

 
 

時間をかけてゆっくりとジャングルを歩いていたため、気がつくとかなり暗くなってきていた。何しろ虎がうろつく森である。早く町に帰りたくなった。それなのにガイドは、何故か見覚えのない道を進んでいく。もしかして、この男、道に迷ったのか?などと一瞬疑ってしまったが、そのガイドが突然指差した方向を見て驚いた。それはまさしくインディージョーンズの映画の舞台!ぱっくりと割れた岩山の下に深く刻み込まれた不気味な峡谷、そして、何故かその底を目指して人々が列を作って降りていく。上の写真がその様子であるが、雰囲気は伝わっただろうか。

それにしても、ここは一体どこだろう、と考えていると、ガイドが「ここはジャタシャンカルですよ。あなたは来てないんですか?」と尋ねる。ジャタシャンカルならパチマリの到着した翌日にすでに来ている。町から一番近い聖地なので、誰もが訪れる場所である。…ということは、僕たちは町とは正反対の場所からこの洞窟を目指したことになる。「なるほど」、…ジャングルと洞窟との大まかな地理がようやく理解できてきた。

 
 
洞窟にも入った。最初に来たときはあまりに人が多くてあきらめたが、この日はシヴァラットリー祭の最終日明けということで、このあいだほどの混雑ではない。持ってきた小型三脚で撮った写真が下のもの。三脚の使用は普通こうした場所では禁止のはずだが、パチマリはやはり田舎である。そんなことに誰も興味すら示さない。
 
 
この日は驚くようなことばかりで、この頃はすでに相当疲れ気味、洞窟は早々と退散した。というわけで、洞窟の様子は写真から想像していただければ、と思う。洞窟名は先ほど書いたとおり、「ジャタ・シャンカール」である。「シャンカール」はシヴァの別名であるから、当然この洞窟にはシヴァが祭られている。シヴァとパチマリの森に関することは前回で詳しく書いたとおりである。だから、ここにシヴァの洞窟があることは驚くようなことでもない。先程の壁画とこの洞窟は普通に歩いて30分以内。目の鼻の先であり、あの壁画を描いていた人々も当然洞窟の存在は知っていたはずである。壁画が描かれた時代にこの洞窟がどのように利用されていたのかは不明だが、今現在この場所がシヴァの聖地であることを考えれば、壁画を描いていた人々もまた、この洞窟に特別な感情を抱いていた可能性がある。ということは、いったいどういうことだろう?前回書いた、シヴァらしき先史時代の絵と、現在、この洞窟内に祭られているシヴァとの関係は?などとさまざまな疑問が湧いてくるが、そのあたりのことはまた次回以降で。それにしても、パチマリのジャングルを歩き回ったこの長い一日はとても素晴らしかった。
 
 

 第五章に戻る 第七章に進む

 
 chaichaiホームデカン高原古代の森パチマリ>第六章 シヴァの洞窟へ
 



(C)shibata tetsuyuki since2004 All rights reserved.
全ての写真とテキストの著作権は柴田徹之に帰属しています。
許可なく使用および転載することは禁止です。ご留意ください。