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第四章 巨大生物の正体は?

 
 

二つ見た絵画群の中でもっとも目を引いたのがこれである。光の状態が悪くてやや不鮮明であるが、何か得体の知れない巨大な生物と「人間らしき」生物が戦っているように見える。「人間らしき」生物は派手な飾り物を身にまとっているようである。もしそうであるなら、鳥の羽であろうか。

巨大な生物について、ガイドは「恐竜である」と断言していた。ただし、ガイドの話は参考程度にしかならない。実際、これが何であるかは誰も知らない。すでにこの世に存在しない生物であると思うが、もしかすると、絵が描かれた当時においてもこれは想像上の動物であった可能性もある。巨体のわりには手足がほとんど消滅しているようであり、頭部も不鮮明である。形状的には蛇の仲間であるような気がするが、それよりも「ツチノコ」に近いともいえる(ツチノコもまた、何かを飲み込んだ蛇を見間違えた、との説がある)。

謎の動物の正体は分からないが、絵には奇妙な特徴がある。その体の中心を貫く一本の線である。これは多分、骨ではないかと想像できるが、もしそうであるなら、骨の位置がおかしい。というより、やはりこれは蛇の種類であろう。普通の動物なら、背骨はもっと上方に描かれるのではないだろうか(適当に書いたという可能性もある)。

絵自体はやはり謎めいている。素朴だが、よく見ると、線もしっかりしているし、何か、不思議な魅力にあふれている。右の人間らしき動物にしても同様のことが言えるだろう。これを書いた人たちが見ていた世界というのは、少なくとも僕たちが知る世界とはかけ離れている。まずは、そういった認識が必要なのだと思う。

 
 
 

これも恐竜か、と思われる写真をさらに二枚。比較できる人間などが描かれていないから実際の大きさは分からない。ただし、上の写真は例えるなら始祖鳥であるだろう。特徴がよく現れている。下の写真は非常に不鮮明であるが、ガイドによると、これは時代が古いためだという(多分、適当に言っているのだが…)。ただその形状から爬虫類だと想像できる。イグアナみたいなものか、と考えていて、はっと気付くことがあった。

何に気付いたのか、というと、古い時代になればなるほど動物は巨大であった、という、一部で言われている、ある真理(事実)についてである。何故、古代の動物が巨大であったかのか、誤解を恐れずに言うと、…古い時代ほど、すべての物事が神聖であったから…。こうした考えは僕自身の発明ではない。何かの本でも読んだ記憶があるし、インドでも、あるサドゥー(放浪修行僧)が話していた。さらに、宮崎駿の「もののけ姫」でも、そうした世界が生き生きと描かれている。

ちなみに、現在日本においても、巨大化した動物の存在を信じている人間が確かにいる。そればかりか、そうした動物に実際に遭遇した、という猟師が日本のある辺境に存在する、ということを、かつてある日本人から聞いたことがある。彼自身も、巨大動物の足跡ぐらいは見たことがあったとか、そんなふうに話していたような記憶もある。彼から聞いたことの詳細は言えない。特に村の名前などは、他には話さないように、と口止めされたからである。

インドに関係はないが、少しこの日本人のことを書いておきたい。彼から聞いたことの詳細は言えない、と書いたが、本当のことを言えば、詳細は覚えていない。どうして覚えていないかというと、彼が自分の村について話すときの怪しげな雰囲気に飲まれてしまうのである。すごく饒舌でもあった。正直言って、彼自身ではない他の存在が話しているのではないかと怖くなったほどである。普段はおとなしい人間であったから、なおさらそのギャップを感じた。

じつは他にも二人ほど、変な男を知っている。彼らも日本の辺境出身だったが、やはり、野生動物との奇妙な関係について好んで話す習慣があった。正直言って、彼らの話していることのほとんどは嘘ではないか、と疑いながらも黙って聞いていたのだが、それが嘘であるにしろ、ないにしろ、彼らがその背後にちょっと奇妙な風土を漂わせていることが、どこか不気味で、そして少し魅力的だった。

パチマリの話に戻るが、描かれた絵が恐竜かどうか、あるいは巨大な動物であるかどうか、といったことはやはり分からない。ただ、パチマリはごく最近になるまで(イギリス人によって開発されるまで)、インドにおけるとんでもない秘境だった。そんなパチマリの森を、五千年前か一万年前、あるいはそれ以上も古くにうろつき歩いて狩猟生活を送っていたであろう人々の世界観が不思議に満ちているというのは、ある意味、驚くようなことではないだろう。現在日本でさえそうなのだ。誰も彼もが自分と同じ考え、世界観を持つなどと考えるのは傲慢な気がする。

下にもう一枚、写真を掲載しておく。美しい鹿の絵だが、これが果たして現在の鹿と同じような大きさであったのかは不明である。全長10メートルなんて、お化けみたいな鹿の実在が、日本でもインドでも普通に信じられた時代があったのかもしれない。

注)辺境および辺境の人間がすべて変だとか奇妙だとかと言っているわけではないので、誤解なきように…。それから、巨大な動物に関する噂話など、私も知っている、という人がいたら是非お知らせください。

 
 
 

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