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第二章 壁画発見

 
 
 
 

太古の森を歩くこと一時間あまり、ようやく先史時代の絵があるという岩壁にたどりついた。それはオーバーハングした巨大な岩であったが、特に変わったものではなく、遠目からは絵も確認できない。ガイドから「ここです」と言われたときも、「ああ、そう」といった程度で、実ははじめの段階では、先史時代の絵というものにそれほど期待していたわけではなかった。それが物凄いものであれば、当然もっと有名になって観光客なんかがぞろぞろやってくるに違いなく、そうでないというのはそれがたいしたものではない、ということを意味していると、勝手に解釈していたのだが…。

しかし想像は見事に裏切られた。遠目では分からなかったが、長さ二十メートルを超える岩壁のいたるところに原始の絵があった。そのほとんどは単色で描かれた簡単な絵柄であったが、描かれている世界は独特のものであり(当たり前だが…)、そして絵自体も躍動感があって力強い。

描かれている内容はおもに動物、狩猟生活、踊などの宴の様子、である。ガイドの話によると、新しいもので五千年前、古いもので五万年前のものだという。そして「カルカッタの大学に調べてもらったから間違いない」と彼は付け加えた。しかし五万年前というと、世界最古の絵ということになってしまう。フランスのラスコーの絵が約一万六千年前のものとされており、最近では同じフランスのショーベ洞窟から三万年前の絵が見つかった。しかし、パチマリの絵はそれよりさらに古い。ただし、ガイドの説明でも、現在見られる絵の多くは一万年前から二万年前のもので、古い絵は新しい絵の下に消えてしまっているのだという。まあ、それにしても、二万年前というだけでも十分であり、しかも、ここにいるのはガイドと僕の二人、何だか不思議な気分だ。

これらの 絵については次回からいろいろと考察(…なんて偉そうなものではないが)していくが、一つ言えるのは、ここに描かれている人間には何と尻尾がある。もしかするとこれは飾りなのかもしれないが、あるいは現在のホモサピエンスとは別系統の原人、ありいは猿人などがその絵のモチーフになっている可能性もある。ということは、ここに描かれた人々は私たちの先祖ではないことになってしまう。そういえば、何年か前にデリーに猿人間があらわれ大騒ぎになったことがあったが(別に証明されたわけではないが…)、壁画に描かれた人々の子孫が生き残ってひょっこりデリーにあらわれたのだとしたら、…等々、さまざまな想像(妄想)が可能だ…。 さて、次回からはゆっくりと絵を紹介していくつもりです。

(付記)パチマリにいる時点ではあまり知らなかったが、パチマリよりもっと街(ボパール)に近いジャングルの中にビームベートカーという場所があり、こちらにも多くの先史時代の絵が残されているという。ビームベートカーは2003年には世界遺産にも指定され、多少の観光客もいるらしい。ただ、ガイドに言わせると、パチマリのものより新しく、絵もたいしたことなくて(?)、また落書きが多くてつまらない(?)、ということであった。いずれにしても、ラスコーなどのように厳重に管理されているわけではないので見ること自体はパチマリよりもさらに容易だろう。機会があったら見てみたいものだ。

 
      (上)先史時代の絵があった岩壁
 
 
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