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パンジャビ料理を食べる

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パンジャブ料理というのは、インド北西部パンジャブ地方の料理をベースにして作られたインド高級料理の代名詞のことである。日本では、ムガル料理ともいわれるが、インドではその名称をあまり聞かない。

パンジャブ料理を現地で食べるためには、普通、中級以上のレストランにいく必要がある。でも、値段はピンきりで、一品30ルピー(80円程度)くらいからあるので、貧乏旅行派も悩むには及ばない、はずなのだが…。

今回、パンジャブ料理の説明をしたいと思ったのは、どういうわけか、日本人旅行者の多くが、このインドでもっとも有名かつ洗練された料理を、現地でまともに食べていないことに気付いたからだ。日本人というのは決して味音痴ではないと思うのだが、インドに来る旅行者はどういうわけか、好んでまずい料理を食べようとするのは何故なのか?インドに来てやや興奮しているのは分かるが、食べ物くらいは落ち着いて食べたらどうであろう。

さっそく説明したい。まず、パンジャブ料理を食べるなら、ツーリストレストランはなるべく避けたい。あまりうまくない(こちらを参照)。インドの中級都市や観光地なら、必ず何件かの中級レストラン(中級ホテル付属のレストランでもいい)がある。地元の人に評判を聞きたいところだが、リクシャーの運転手や客引きには縁のない世界であり、聞くだけ酷というもの。たいてい、なんとなく高そうな雰囲気があるが、高級ホテルでもない限り普通は大丈夫だ。はじめにメニューを見せてもらってもいい。ベジタリアンメニューで30ルピー(約2.5倍で円換算つまり75円程度)から60ルピー程度、ノンベジタリアンメニュー(非菜食)で50ルピーから100ルピー程度が目安だ。ひどく暗い店があるが、こういうところは決して高くないし、完全にインド人用のレストランなので味は期待できる。BARを兼ねているところもあるが、メニューにカレー料理が並んでいるなら、特に問題はない。

パンジャビ料理を食べるなら、二人以上、出来れば4人くらいで来るのが楽しそうだ。インド社会は基本的に大皿文化ではないが、パンジャビ料理に関しては、インド人も取り分けて食べる。なぜなら、一品の量が多いので、一人ずつ頼むと味が単調でかえってうまくない。それなら安いターリー(定食)のほうがかえってうまい。

料理名は、基本的に素材の名前が付けられる。野菜だと、アルはジャガイモ、マタルはグリンピース、ビンディーはオクラ、バイガンは茄子、となるが、英語の説明が付記されているメニューも多く、安心できる。パラック、という料理が出てきたら、それはほうれん草のことだが、インドでは、ほうれん草をペーストにして、緑色のカレーに調理する。もちろんおいしい。また、パニールはチーズのこと。パラックパニールは当然ほうれん草とチーズのカレーのことで、インド人にとってはご馳走料理の一つだ。パニールを使った料理は結構豊富で、値段は高めだが、こってりとした味が楽しめる。スタッフドトマトというメニューをよく見かけるが、これは中身をくりぬいたトマトにチーズやジャガイモを詰め、カレーソースでからめたもの。コフタというのは団子のこと、やはり中に詰め物をしてカレーソースにからめる。カシミーリーカレーとあれば、レーズンや、時にはフルーツの入った高級カレーのことで、ほのかな甘みがとてもおいしい。

豆カレーもいろいろある。代表的なのはダールフライ(ダールの発音が難しい)。黄色いムング豆(他の種類も?)のカレーだ。カレーメニューの中ではたいてい一番安いが、味がやさしく、しかも体にいいから、何品か頼むなら、これも加えるのが一般的だ。これより高級なのがダールマッカニ。いくつかの豆をミックスしたカレーだ。バターなども入れて、味が濃厚になっている。

肉は基本的にはチキンかマトン。例えばチキンなら、チキンカレー、チキンマサラ、チキンバターマサラなど、いろいろなメニューがあっても味はよく似ていたりする。また、個人的にはチキンよりマトンのカレーがおすすめ。意外と臭みはなく、よく出来たものだと、「肉はマトンだ」と断定したくなるほど。脂っこくないし、栄養価値も非常に高い(日本で一般t系なキーマカレーはあまり見かけない。また、あっととしても、マトンの挽肉を使うのが一般的)。焼き物も豊富だ。タンドーリーチキン、シシカバブ、そして、挽肉をちくわのようにして焼くシークカバブ。どれもとてもおいしい。場所によっては魚カレーもあるが、鳥よりさらに期待できないかも。パンジャブには海がないのだ。

肉料理を食べたいなら、そのレストランがノンベジタリアンであるのを確認したほうがいい。ノンベジタリアンと同じくらいの、あるいはそれ以上の数のベジタリアンレストランがインドには存在している。

メニューの選び方だが、気をつけたいのは、野菜カレー、およびチキンカレーの場合、基本のソースが似ている場合が多い。だから、パラック(ほうれん草)や、ダール(豆)、あるいはマトン系を頼めば、それぞれ違う味が楽しめる。品数は、人数分カレー料理で十分、それにチキンかマトンの焼き物を加えるなら、その分カレー料理を減らすと良い。タンドーリーチキンはハーフで二切れあり、よほどでない限り、一人一切れで十分。炭水化物は、米かナン、そしてチャパティーなどがある。チャパティーとは、アタ(全粒粉)を水と混ぜ、薄く焼いただけのシンプルなパンだが、慣れるととてもおいしい。ナンよりずっと一般的だ。

ビリヤーニやプラオといった混ぜご飯を頼むのもいい。ビリヤーニとプラオの違いは微妙だが、一般的にはビリヤーニのほうが味が濃く、肉つきであり、値段が高い傾向がある。これらの混ぜご飯はそうじて味が濃いので、一般的にはカレーと混ぜないで食べる(混ぜる式もある)。大人数でいく場合は、ビリヤーニを一つ、あとはチャパティーなどといった組み合わせで、それに見合ったカレー料理を頼むとおいしく食べられる。

フォトエッセイ「インド料理の魅力」にも書いたが、カレーはヨーグルトと混ぜたりして食べるのがおいしいし、また、胃にももたれない。ヨーグルト(インドではダヒと言う)か、あるいはライタ(ヨーグルトサラダ)を一つくらい別注すると、快適に料理が食べられる。あと。忘れてならないのはアチャール。マンゴーや唐辛子などの漬物だ。これも味に変化を与えるためにはなくてはならないもの。たいていは無料だから、ない場合は、リクエストする。

最後に、カレーと酒はあまり相性がよくないことを付け加えておきたい。スパイスはそれだけで十分に刺激的で、ほかに刺激物をとってしまうと、お互いが喧嘩してしまうようだ。コーラとかペプシなどの炭酸もどうかと思う。じゃあ何がいいのかというと、水である(インドのレストランはミネラルウォーター持込み可能)。食後はやはりチャイで締めたいが、個人的には、いったんレストランを出て、外のチャイ屋で夜空でも眺めながらお茶を飲むのが最高の贅沢だ。






サドゥ 小さなシヴァたち

インドの放浪修行者
サドゥの本へのリンクです。
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