フォトエッセイ「インド動物事情」にも少し書いたが、インドのデシュノックという町に非常に珍奇な寺がある。インドには、数え切れないくらいの聖地があるが、この町にあるカルニマーター寺院ほど変な聖地はあまりない。境内に入ると、そこにはなんと数千匹のネズミたちがうろつき歩くのだ。そして一歩足を進めるごとに、微妙な感覚が足に触れて、ゾクゾクしてしまう(寺に入るのには必ず靴を脱がなくてはならない)。寺では、一日何回も食事の時間があって、大きな盆に一杯のミルクが注がれ、ネズミたちに与えられる。盆のふちに、数十匹のネズミがチョコンと座り、ミルクを飲むさまは、愛らしいというか何というか…。ちなみに、これらのネズミたちは、この寺の女神カルニマーターが死神ヤマ(閻魔様)に頼んで生き返らせた息子の仮の姿なのだという。デシュノックはやや辺鄙な場所にあるので、訪れる旅行者は少ないが、もし、ラジャスターン州をゆっくり旅するなら、来てみるのも損はない。
余談だが、ネズミと言えば、ゾウ顔の神様ガネーシャの乗り物である小さなネズミを思い浮かべる人も多いかも知れない。でも、デシュノックのネズミはそれとは関係ないらしい。
(デシュノク旅行情報)
最寄の大きな町はビカネール。巨大な宮殿、古い街並みが残る砂漠の町だ。12月から1月に、ラクダ祭りが行われる。デシュノックはビカネールからバスで1時間弱。宿泊施設は不明だが、ビカネールからの日帰りで十分。ビカネールまでのアクセスは、ジャイプール、ジョードプルからいずれもバスで6、7時間。ジャイサルメールからのバスもあり、8時間程度。この道は砂漠のど真ん中を走るもので、おすすめ。
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