バラタナティヤムがインド古来の正統的舞踊とすれば、カタカリとカタックはやや異質である。
カタカリ(下の2点の写真)は、複雑怪奇な顔の表情とムドラーと呼ばれる魔術的な指の動きからなるパントマイム劇である。華美な王冠と原色を多用するメーキャップ、さらに巨大なスカートなど、毒々しいまでに奇抜な姿で観客を圧倒する。踊り手はすべて男性であるところから、日本の歌舞伎や中国の京劇の起源とする説もある。
カタカリは椰子の森が広がる南国ケーララに伝わる伝統的な舞踊や武術の影響を受けて誕生した。その底流を支えるのは南国の森に生きるさまざまな精霊たちと、精霊たちを操る神の存在にある。
一方、カタックは、フラメンコの起源ともされ、奔放で枠にとらわれない自由な表現が特徴的だ。激しいステップから、足首の鈴を楽器のように打ち鳴らし、演奏者との掛け合いなどを通じて、観客を魅了する。
北インド、ラクノウのイスラム王朝内の宮廷舞踊として成立したため、他の舞踊と比較すると、宗教色がやや希薄である。その分、舞台は明るく快活でノリがよい。砂漠のジプシー(ロマ)たちからも影響を受けているようだ。
マニプリはまだ見たことがないので説明は控えるが、インド東北部に住むモンゴリアンの舞踊にルーツを持つようである。