インドにはさまざまな顔がある。質素倹約に生きる庶民が何億人もいる一方で、日本ではおよそ考えられない大富豪が存在している。その象徴がマハラジャ(国王)だ。
16世紀、インドを支配したムガル王朝に敗れて、チットールガルからさらに西に位置する丘陵地帯に逃れたメーワールの王ウダイ・シンが築いたのが、その名を今に残すウダイプル。ふたたび勢力を回復したメーワール朝はその地に多くの人造湖を作り、この世の楽園を作り上げていく。その中心になるのが、王たちの住居であるシティーパレスだった。
メーワール朝は現在も続いている。その巨大な宮殿はマハラジャの私有財産でもある。
ムガル帝国滅亡後、新たにインドを支配した大英帝国と共存共栄を模索しながら、メーワールはその地位を維持しつづけた。それを象徴するように、シティーパレス内のインテリアもどこか西洋風のおもむきがある。成金趣味らしい派手な一室がある一方で、パステルカラーのデザインが随所に垣間見える。
見学できる場所はかぎられている。何しろここは個人邸宅でもあるのだ。また、宮殿の一部は豪華ホテルとして使用されている。すべてが庶民のレベルからはかけ離れている。
ウダイプルは人によって好き嫌いが分かれる街であろう。というより、この街はインドでは珍しく、金が必要な街かもしれない。どうせ行くなら、宮殿ホテルに泊まり、湖畔のレストランでゆっくりと食事を楽しみたい、と考えても不思議ではない。そういうことに興味がないなら逆につまらない街であったりする。
ちなみに、ウダイプルで一番目立つのはフランス人観光客だ。何となく分かるような気がする。
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