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グジャラートの遺跡を巡る(ギルナール、パリタナほか)

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インド最西端に位置するグジャラート州。すぐ北のラジャスターンに比べると地味だが、旅をしてみると意外とおもしろい。遺跡もふんだんにある。どこも旅行者が少ないから、穴場好きにはおすすめだ。旅をするなら、州の中心都市アーマダバード(州都はガンディーナガル)から、西にのびるカーティアワール半島をぐるりと一周するのがよいだろう。

反時計回りに紹介していく。まずは半島の最西端ドワールカ。クリシュナ神の重要な聖地であり、これをまつる16世紀の寺院(下の写真)が海のすぐ近くにそびえたっている。その堂々とした姿が印象的だ。

ドワールカはのんびりした田舎町である。巡礼者たちが集う小さな海岸(上の写真)を散策するのも楽しい。個人的には東のプリー、西のドワールカといった感があるが、実際、この二つの町は、古代インドにおける四大神領の東西を守る、インドでも非常に重要な聖地である。

そんなドワールカであるが、本来のドワールカはじつはここではない。この地には失われた都市伝説がある。ドワールカの沖合いに、本当の聖地が眠っているのだと噂されている。同じようなことを南インドのマハーバリプラムでもすでに書いた。「神々の指紋」の著者である、あのグラハムハンコック氏はマハーバリプラムと同様、この地の海にも潜ったようである。


ドワールカから南へ下る。マハトマガンディーの出身地であるポールバンダーを抜け、ジュナーガドへ。ここには石窟寺院やモスク、そしてマクバラーと呼ばれる王室墓園が残っている。上の写真はマクバラーのバハー・アッディーン・パール廟。1896年建造。

ジュナーガド近郊にはギルナールと呼ばれる山(下の写真三点)があり、山中に数多くの寺院が立ち並んでいる。山道の途中にある寺院群はジャイナ教のものだが、山頂近くにはヒンドゥーの寺が建っている。山の標高は600メートルぐらいだろうか。登るのが大変きつい。登るなら早朝に出発したい。なお、ギルナール山背後の森はササーン・ギル国立公園。アジアで唯一、ライオンが生息する森である。


ジュナーガドからさらに南に下ると聖地ソムナート。古くからの有名な聖地であったが、寺院は11世紀にイスラム勢力によって破壊されてしまった。現在あるものは20世紀に再建されたものだ(下の二点)。



半島の最南端には、かつてポルトガル領であったディーウがある。現在は政府直轄地となっている。余談だが、グジャラート州は酒に非常に厳しい州である。普通に旅しているなら、まず酒は飲めない。しかし、ディーウに来れば、まさに飲み放題となり、多くの酔っ払いインド人が酒目的でやってくる。

ディーウにはポルトガル時代の城壁や教会がある(現在、写真は掲載していないが、あとで探してみます)。

半島最後の目的地はジャイナ教の聖地シャトルンジャヤ山。パリタナという町がその基点となる。ギルナール山と同様、山頂を目指すならまだ真っ暗なうちに町を出て、暗闇の中を巡礼たちと歩き出そう。というのは、登山自体はギルナールほどではないのだが、登山中には一切の飲食が禁じられているからだ。持参するのも一応禁止である。どうしても水を飲みたければ登山道を離れて、人の目に付かない場所でそっと飲むしかない。ただし、山頂の寺では、寺によって準備された水に限って飲むことが認められている。

シャトルンジャヤの一番大きな特徴は膨大な寺の数である。山中にじつに三千もの寺院がある。三千という数はなかなか実感できないが、山頂付近からの眺めは非常に壮大である。古い建築で10世紀ということだが、多くはそれほど古くない。また、一部の非常に精巧な彫刻を施したジャイナ教寺院ほどの魅力もない。しかしその景観はやはり一見の価値がある。


シャトルンジャヤからアーマダバードへ戻ってきて旅は完結する。日程的には10日ぐらいはほしい。当時はインドの建築物にさほど関心がなかったため、非常に貧弱な写真しかないが、本来は一つの町につき、1ページ(あるいは2または3ページ)ずつ紹介するだけの価値を持つものばかりだ。再びこの地を旅することがあれば、ぜひページを作り変えたい。

アーマダバードについても、じつはイスラム建築の宝庫である。行ったのは下の写真にある、ダーダー・ハリの階段井戸だけ。しかし、これもまた見事である。グジャラート州、そして隣のラジャスターン州には、ほかにもたくさんの階段井戸が残されている。



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