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デカン高原随一の聖地へ

デカンの絶景オムカレッシュワル

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インドの中で、僕がもっとも興味を持っている地域はデカン高原である。デカン高原というのは、インド中央部に位置する丘陵地帯で、広く定義すれば、インドの半分ぐらいがその中に入ってしまう。デカン高原にある主要な観光地としては、エローラ、アジャンタなどが有名だ。大きな町も数多くある。しかし、それでもやはり山がちが地形のためか、平原部に比べれば開発は遅れている。逆に言えば、それだけ古く、不思議な世界が今も残っているといえるだろう。

しかし、デカン高原奥地というのはなかなか簡単に旅できる世界ではない。特に魅力がありそうなデカン高原北東部は情報が乏しく、またインフラもかなり遅れている。たとえ行ったとして、まさか一人で部族民を訪ねるわけにもいかない。噂によると、あの辺りでは、一部、今も首刈り習俗が残存しているらしい。どうも話の通じない連中だから、捕まってしまえば一巻の終わりだ。いろいろ想像すると、デカンの秘境はますます遠い。

しかし、たとえ奥地にまで入れないとしても、その雰囲気ぐらいは感じたいという人におすすめの場所がいくつかある。その一つがオムカレシュワルだ。場所はデカン北西部よりの丘陵地帯、ナルマダ川とカーヴェーリ川が合流する地点に浮かぶ小さな島にある。シヴァを祭るシュリ・オームカル・マンダタ寺院がその中心となり、多くの巡礼者がこの地を訪れる。

オムカレシュワルの魅力はその風景にある。はじめて見たすべての人が、その景観に釘付けになってしまう。青々とした川の流れと雄大な空のコントラスト、川を行き来する幾つものボート、小さなガート、そしてガートから急な階段を上った辺りにある寺院、遠くに見える火葬の煙。そのすべてが美しい。夕暮れの風景も忘れがたい。赤く染まった川の流れを眺めていると、シタールの音色がふと聞こえてくるようでさえある。

オムカレシュワルはやや不便な場所にあるし、日本のガイドブックには掲載されていないが、旅行者もちらほら見えるし、宿も少しある。訪れて絶対(はないが)後悔しないだろう。


(オムカレシュワル旅行情報)
マディヤプラデーシュ州のインドールから直通、あるいは乗り継ぎのバスを利用する。3時間から4時間。宿はいくつかあるので大丈夫だろう。オンカレシュワルに行くなら、マンドゥーもおすすめ。マンドゥーは、広大な丘に点在するイスラム遺跡で有名な村。風景もすばらしく、周囲には先住民の姿も多い。観光地としては、オムカレシュワルよりもむしろ有名であり、宿もある。「地球の歩き方」にも掲載されている。オンカレシュワルからインドール乗り継ぎで約7時間。






サドゥ 小さなシヴァたち

インドの放浪修行者
サドゥの本へのリンクです。
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