滅び行く人力車が走る哀愁

 
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人力車が走る街
 
 
 
 
 
 
90年代後半に一度廃止が決定した人力車、つまり元祖リキシャーだが、労働者による抗議運動で存続となった。ずっとリクシャーを引いてきた男たちにとっては生きるための糧はこれしかない。やめろ、といわれてやめれるものではない。ただし、あらたなライセンスは発行されないので、彼らが全員死ねば、その時点で自然的に廃止となる。

インドらしいといえばまさしくその通りで、そこは中国なんかとは全然違う。命あるものはいずれ消滅するから、自然消滅にまかせよう、という、なにやら投げやりな、あるいは視点を変えれば、哲学的とも思える決定である。自然消滅ということでいえば、カルカッタの街自体も、いずれ崩壊するまで、基本的にはこのままの形で維持されるのだろう。これが中国なら、とっくの昔に再開発されているところだが、インドではそれはまず不可能だ。なにしろ角を曲がるたびに神々の祠があり、ご神木があるから、これらを破壊することはちょっと考えにくい。
 
 
 
 
リクシャーは存続したが、走れる区域は決まっている。基本的には大通りは不可であるから、そのあいだを結ぶせまい道にかぎられる。そのため、カルカッタに長く滞在したわりには一度しかリクシャーを利用していない。リクシャーワーラーも自分たちの希少動物的な価値をよく自認しているから、外国人にはかなりふっかけてくる。
 
 
 
 
 




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