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スーリヤ寺院(コナーラク)

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太陽神スーリヤに捧げられた中世の大建築が東インドの田舎町コナーラクにある(1984年世界文化遺産指定)。

インド史に残る傑作として高い評価を受ける建造物だが、未完であった可能性がある。本来あるべきはずの塔がなく、作られた形跡もないらしい。とはいえ、基壇などに彫りこまれた彫刻群は精巧かつ雄大で、ほかに例を見ない。とくに目を見張るのが合計24ある大車輪。寺は神々を運ぶラタ(山車)である、という考えから生まれた。

スーリヤ寺院は13世紀、 ナラシンハデーヴァ 1世によって作られた。ヒンドゥー建築最盛期であり、また、衰退期前夜でもあった当時の最高水準の技術が用いられている。また、すべてを埋め尽くすおびただしい彫刻群は、当時、宗教界の主流であったタントラ思想を表現したものである。

あらゆるものが複雑怪奇にからまりあう中で、有機的に作用し、移り変わりゆくこの世界を構成してゆく、といった雄大な思想がこの大建築に封じ込められている。


デカン高原のカジュラーホーほどではないが、ここコナーラクでも数多くのミトゥナ(性交の表現)像(下の写真)を見ることが出来る。ミトゥナ像はタントラ思想と関連があるが、詳細はカジュラーホーのページで紹介する。

ミトゥナ像はインド全土にあるわけではなく、主に中央インドから東インド、そしてネパールにもその姿が見られる。ミトゥナ像の有無は、インドの文化におけるかなり根幹の部分に由来していると思われる。いずれにしても、性交という、ある種、根源的な行為を、ときの権力者が公認した上で、このようにあからさまに表現したというのは世界にもあまり例を見ない。それはインド思想を、より深い世界に向かわせる大きな力となった。



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